建材ロスを減らし資源の循環をつくる「HUB & STOCK」

HUB&STOCK

建築の生産は基本的に一品生産。

土地の形状も環境も、まったく同じものは存在しない以上、どの建築もオンリーワンのモノになります。
そうすると、生産に際して「材料のあまりを出さない」なんてことは難しいことは想像にかたくないでしょう。

ですが、建築業界の構造上の問題等により、思っている以上の資材が捨てられている、という現状があります。

そんな、必要以上に生産され、使われずに捨てられていく資材をレスキューし、再利用するための事業「HUB & STOCK」がスタートしました!

建築資材ロス問題とは

多くの方が一度は耳にするであろう食品業界の「フードロス」という問題、これに近いことが建築業界でも起こっています。

まずはこちらの写真を見てください。

HUB&STOCK - 建材レスキュー

レスキューされた余剰建材

2tトラックに山のように積まれた建材たち。

驚きなのは、これらは1社の工務店から回収した余剰建材だということ。

前述したとおり、在来の建築行為においてあまりを出さない、というのは難しく、あまった資材の中で他の物件に使えそうな資材は工務店がストックする、というのが一般的です。

ですが、実際に再活用できる資材は少なく、これほどの量をそれぞれ工務店がストックするという状況になっています。

これだけストックをしていても、再活用できるのはごく一部で、多くが廃棄物となっているのが現状です。

建築業界の現状

廃棄物が増えることがどう問題なのか、改めて見てみます。

HUB&STOCK - 最終処分場

最終処分場の残余容量及び残余年数の推移(産業廃棄物) 環境省

 

こちらは、環境省がまとめた、産業廃棄物の最終処分場に残っている容量と、このペースであればあと何年持つか、というのを試算した資料です。

図にある通り、2017年度において、最終処分場の残余年数は16.3年。

廃棄物を出さない仕組みづくりが求められています。

 

次に、先ほどの写真にはクロスや塩ビタイル、長尺シートといった資材が多いのが見て取れます。

どれも便利な建材であるのですが、課題も抱えています。

再利用の難しい「混合廃棄物」

クロスや塩ビタイルなどの廃棄物は「混合廃棄物」といわれます。

この混合廃棄物の課題、それは再利用が難しいということ。

混合廃棄物とは、「混合」と書かれているとおり、混じり気のある物質の廃棄物
混じり気のあることがどう問題なのか、見てみましょう。

例)
角材の廃棄物があったとして、
①素の角材、②釘の打たれた角材、③接着剤のついた角材、
どれがリサイクルしやすいでしょうか?

もちろん、①はそのまま使えるので一番再利用しやすい。②は釘を抜けば再利用できる。
③は接着剤をはがすのに手間がかかり、一番再利用しづらい。

というのが想像できるかと思います。

再利用するために多くの場合、まず仕分けをする必要がある。そして、混合廃棄物はあらかじめ混ざった状態の建材。
混じり気は再利用の観点からは問題なわけです。

 

このことは、国土交通省が出しているデータからも見て取れます。

HUB&STOCK - 混合廃棄物

品目別再資源化率等の推移(平成30年度建設副産物実態調査結果)

上の図では、建設から出る廃棄物がそれぞれどの程度再利用されているのかを表しており、アスファルトやコンクリート、木材の再利用率が90%を超える中、混合廃棄物は60%程度となり、他よりかなり低い数値となっています。

HUB & STOCKができること

HUB&STOCK - 店内在庫

HUB & STOCK 店内在庫

混合廃棄物はリサイクルできないわけではなく、難しい。

そうすると当然、リサイクルするためのコストが高くなる。
リサイクルするよりも処分する方がお金がかからない。結果、産業廃棄物が増加してしまいます。

再利用の難しい混合廃棄物を回収し、リサイクルではなくリユースしよう、と始まったのが「HUB & STOCK」です。

リサイクルとリユースについて考えるため、ここでサーキュラーエコノミー、循環型経済について見てみます。

HUB&STOCK - バタフライダイアグラム

バタフライダイアグラム(サーキュラーエコノミー・ジャパン)

このバタフライダイアグラムは、サーキュラーエコノミーへの移行を進める際、優先度の高いアプローチを決定するのに役立つ図解として制作されたもの。

ここで見ていただきたいのが、図の右側、青線の部分。

メンテナンスからリサイクルまで、4つの青い円が描かれています。そして、この円が小さいほど、サーキュラーエコノミーとしては経済性が高く、優先すべきアプローチである、とされます。

リサイクルよりも小さい円であるリユースは、サーキュラーエコノミーにおいてより経済的なアプローチといえるわけです。

循環型経済における優先度

メンテナンス、シェア > リユース、再配分 > 再製造、改修 > リサイクル

ーHUB & STOCK まとめー

▶循環型経済においてより経済的なリユース

▶再利用の進みづらい「混合廃棄物」がメインターゲット

▶業者にとって処分もリサイクルも大変なものを回収してもらえ、必要な時には安価に購入ができる

環境、経済、建築業界の三方良しなHUB & STOCK、建築業界に「資源の循環」という、新たな文化を根付かせてくれるかもしれません。

▽HUB & STOCKについてもっと知れる!ホームページはこちら▽

https://hub-st.jp/

 

▽ボーダレス・ジャパンのHUB & STOCK紹介ページはこちら▽
https://www.borderless-japan.com/company/about